作詞を始めたけれど、思うように言葉が出てこない…。そんな悩みを抱えていませんか？
作詞には「センス」だけでなく、誰にでも実践できる具体的なコツが存在します。ポイントを押さえれば、初めてでも作りたい曲に沿った歌詞を書けるようになります。
この記事では、初心者でも今日から実践できる「作詞のコツ」をわかりやすく紹介します。感情が伝わる言葉の選び方から、バズを意識した歌詞、メロディとの相性を意識した書き方など再現性のある手法を解説しています。
本記事を最後まで読めば、初心者の方でも作詞が捗るでしょう。
目次
作詞のコツ｜作詞と作曲どっちが先？
作詞と作曲、どちらを先にするかは人によって異なり、どちらが良いか正解はありません。私自身も作りたい曲の内容やセクションによって都度変えて制作を進めています。以下にそれぞれのメリットとデメリットをまとめたので確認してみてください。
| 項目 | 作詞先行 | メロディ先行 |
| 制作の順序 | 先に歌詞を書き、後からメロディをつける | 先にメロディを作り、後から歌詞をのせる |
| メリット | ・テーマや世界観を明確にできる・言葉の表現を練りやすい・メッセージ性が強くなる | ・メロディに自然に言葉を乗せやすい・歌いやすくキャッチーな曲になりやすい・感情の流れを音で表現しやすい |
| デメリット | ・メロディにうまく乗らないことがある・修正が大変になりやすい・音との一体感を出しにくい | ・言葉の自由度が下がる・意味より語感を優先しがち・テーマが曖昧になりやすい |
| 向いている人 | ・物語や詩的表現を重視したい人・歌詞の意味を主軸に曲を作りたい人 | ・メロディの流れから感情を膨らませたい人・音楽的インスピレーションを重視する人 |
| おすすめジャンル | バラード・物語性のある曲・シンガーソングライター系 | ポップス・アイドルソング・ボカロ系などリズム重視の曲 |
以下の記事ではより詳しく解説しているため、気になる方は参考にしてください。
作詞のコツ・バズを意識したテクニックを公開
ここから具体的な作詞のコツを解説していきます。以下のテクニックをぜひご自身の作詞に活用してみてください。
- 共感を呼ぶ言葉選びをする
- メロディーと言葉を同期させる
- 韻を踏んでリズムと心地よさ・記憶に残るフレーズに
- パンチライン、キラーフレーズを取り入れる
- 倒置や比喩などの表現技法
- 俗語や大和言葉等を織り交ぜる
- ショート動画等で使われるように体の動きを入れた歌詞
共感を呼ぶ言葉選びをする
共感を呼ぶ言葉選びは作詞のコツの基本でしょう。誰もが感じたことのある気持ちや日常の出来事をテーマにするのが効果的です。
小手先のまわりくどい、捏ね繰り回したような歌詞よりシンプルでストレートな歌詞の方が受け入れやすいでしょう。また、難しい言葉よりもわかりやすい表現を使うことで、リスナーが自分のことのように感じやすくなります。
また、シンプルな歌詞はTikTokなどショート動画でも使用されやすい側面があるため、TikTokなどで活動をされる方にはおすすめです。
メロディーと言葉を同期させる
作詞にはメロディーと言葉を同期させることも効果的です。
言葉にはイントネーションやアクセントがありますよね。それを音程と同期させることで耳なじみが良く、スッと入ってくる歌詞になったり、歌うときに心地よさを感じることができるのです。
また、言葉の意味とメロディーが一致している作詞も効果的です。具体的に、キタニタツヤさんの『青のすみか』のサビ部分を例として解説します。
0:51あたりの「青が澄んでいる」という部分と、0:58の「届かなかった」という部分、聴いていてとても心地よく感じませんか？
「澄んでいる」と「届かなかった」という言葉が、キタニさんの繊細で綺麗な裏声のメロディーと合わさって、より透明感と切なさを感じる歌詞になっています。このようにメロディーと言葉をうまく同期させると世界観が広がるのです。
韻を踏んでリズムと心地よさ・記憶に残るフレーズに
作詞のコツにおいて、韻を踏むことは即実践できるテクニックでしょう。韻を踏むことで楽曲に以下のような効果が生まれます。
| 韻を踏むことで生まれる効果 | 解説 |
| 歌詞にリズムと心地よさが生まれる | 音の流れにリズム感が出ます。聴く人が自然にノリやすく、耳に残りやすい言葉の連なりになります。メロディやビートと調和しやすいため、聴き手に快感を与える効果もあります。 |
| 記憶に残るフレーズを作ることができる | 韻を踏むと音の響きが似ているため、キャッチーで覚えやすい歌詞になります。特にサビやフック部分で韻を使うと、印象的なフレーズとしてリスナーの記憶に残りやすいです。 |
| 楽曲の疾走感やノリを後押しする | 韻を踏むことにより楽曲の疾走感がプラスされ聴いていて爽快な楽曲になります。アップテンポな曲にはぜひ取り入れたいテクニックでしょう。 |
パンチライン、キラーフレーズを取り入れる
作詞においてパンチライン・キラーフレーズを意識した楽曲は耳に残りやすく、聴き手に強い印象を与えます。独特な比喩や意味はないが言いたくなる言葉、英語の歌詞等、表現の方法は様々です。
具体的な例を以下で紹介します。
- adoさんの『ギラギラ』のサビ頭、「ギラギラ」という歌詞
- なとりさんの『overdose』のサビ頭、「overdose」という歌詞
- THE BLUE HEARTSさんの『リンダ リンダ』の「リンダ リンダ」（正式には歌詞ではないかもしれませんが）
- きゃりーぱみゅぱみゅさんの『にんじゃりばんばん』のサビ部分の「にんじゃりばんばん」
上記の楽曲のように独特な言葉は、非常に強い印象が残り口ずさみたくなるような要素があるでしょう。
比喩を使った表現技法
比喩表現は作家の個性が出る部分といえます。歌詞に深みや独自性が生まれるためぜひ取り入れたいテクニックです。
比喩表現の中でも私が特に印象に残っている楽曲は、adoさんの『ギラギラ』にある「私の顔はそう神様が左手で描いたみたい」という歌詞です。主人公が自分の見た目は失敗作だと、神様の利き手を例えて関節表現をした秀逸な歌詞だと感じます。
上記のように独特な比喩表現は聴き手の頭に残りやすく、考察の余地を与え聴くこと以外の楽しみが生まれます。特にボカロ楽曲と相性がとても良いでしょう。
俗語や大和言葉等を織り交ぜる
作詞には俗語や大和言葉等を織り交ぜることも効果的です。同じ日本語でも俗っぽい言葉や昔ながらの美しい日本語を織り交ぜると聴き手に違和感を与えることができます。
普段使用されない言葉や知らない言葉は耳に新鮮ですよね。歌詞カードを見ることで目でも楽しめる上に、言葉の意味を調べることでまた歌詞の深さを知ることができるといった効果があり、楽曲の楽しみが生まれます。
実際に歌詞に使われた俗語や大和言葉は以下の通りです。
| 俗語 | 大和言葉 |
| ・ディスる・てへぺろ・推し・尊い…等 | ・己（おのれ）・素晴らしき世界・現（うつつ）・黄昏・魑魅魍魎…等 |
それぞれ、ただ入れるのではなく意図をもって作りたい曲の内容に合わせて取り入れることが大切です。適当に入れてしまうとただ難解な楽曲になってしまう可能性があります。
ショート動画等で使われることを意識した歌詞
現代の音楽シーンでは、ショート動画から楽曲がバズることは珍しくありません。以下のテクニックはそういったショート動画用の作詞のコツといえます。
具体的にはTikTokのUGCを意識した曲を目指す内容になります。「この曲だったらこうやって大勢の人がTikTokで動画を撮ってくれるだろう」という予想から歌詞を組み立てるのです。
実際の曲でいうと、乃紫さんの「全方向美少女」という楽曲。サビ部分の「正面で見ても 横から見ても 下から見ても いい女」という部分は、まさにUGCを意識した歌詞といえるでしょう。スマホのインカメラを使って、曲に合わせて手軽に動画が撮れて投稿できることから大バズりしました。
楽曲自体もメロディのリズム感が癖になりますし、どこかノスタルジーを感じる構成で、それも拡散力の強い若い女性に使用される一因となっているのでしょう。
参考 乃紫 インタビュー 「全方向美少女」がTikTokを席巻、話題のシンガーソングライターに迫る
作詞のコツ｜やってはいけないこと・よくある失敗例
作詞のコツとして、やってはいけないことも以下で紹介します。創作において正解はありませんが、以下の内容は念頭に置いて作詞していくことがおすすめです。
伝えたいことがぼやけている
「何を伝えたいのか」があいまいな作詞は避けた方が良いです。歌詞はメロディにのせて感情を届けるものですが、テーマが定まっていないと聴き手に何も残りません。
言葉が散らかると感情が伝わらず、印象に残らない歌詞になります。たとえば「愛」や「夢」など抽象的な言葉ばかりを並べると、主人公の心情や状況が見えなくなってしまいます。テーマを1本に絞ることが、伝わる作詞の第一歩です。
メロディに合わない言葉を詰め込みすぎる
作詞でやってはいけないことは、言葉を詰め込みすぎることです。リズムや発音を考えないまま書くとメロディと歌詞がちぐはぐになります。
日本語は母音の響きが重要なため、母音の並びが不自然だと滑らかに歌えず違和感を覚えてしまいます。避けるためには以下のポイントを意識しましょう。
- 「あ・い・う・え・お」の流れを意識して書く
- 1フレーズに入れる言葉数を決める
- 口ずさみながら調整する
音の流れを大切にすれば、より心地よく響く作品になります。
ありきたりな表現ばかり使う
やってはいけない作詞の代表例が、よく聞く言葉だけで構成することです。「切ない夜」「君に届け」「愛してる」など、どこかで聞いた表現ばかりだと個性が出ません。
現代音楽において、耳の肥えたリスナーは“似たような歌詞”に飽きています。新しい感情の見せ方や視点を探している人にとって平凡な表現は響きにくいのです。改善するためには次のような工夫が効果的です。
- 自分の経験や感情をそのまま書く
- 普段の会話やSNSの言葉からヒントを得る
- 比喩や情景を交えて表現する
例えば、「寂しい夜」→「スマホの光だけが残る夜」と描くと、より具体的で印象的になります。結論として、作詞では言葉選びに“自分らしさ”を入れることが重要です。他の誰とも違う表現が、あなたの歌を特別なものにするでしょう。
他にも、作詞でやってはいけないことは下記で詳しくまとめているため気になる方は確認してください。
作詞が恥ずかしいのは当たり前
最後に作詞について、恥ずかしいと思う方に自論を述べさせていただきます。
作詞に限らず、創作というのは恥ずかしくて当たり前です。創作というのは今までの自分や自分の中身をさらけ出す行為です。いわばそれは「自分らしさ」。あなた自身です。
いくらダサくても稚拙でも、あなた自身から出た言葉は本物です。だからこそ捨ててはいけない部分だし、大勢の人の感動につながる部分でもあります。上述の通り作詞においてコツやテクニックはありますが、あなた自身から生まれる言葉を何より大事にしてほしいと思います。
また、作品は公開をしていくごとに恥ずかしさは無くなるでしょう。私自身も最初の曲を出したときは「変に思われないかな…」「気持ち悪がられたらどうしよう」と思うことがありました。ですが今となっては微塵も感じていません。
あなたが作りたいと思うもの、伝えたい言葉をぜひ綴ってくださいね。
