最近の音楽でよく耳にするコード進行「丸サ進行」。シンガーソングライターの椎名林檎の楽曲「丸の内サディスティック」が元ネタのコード進行ですね。
最近のJ-POPやK-POP、ボカロ曲で「丸サ進行多すぎ!」と感じている人は多いのではないでしょうか。
この記事では丸サ進行がなぜこれほど多用されるのか、そして多用されるがゆえに飽きる・嫌いと感じることについて作曲家個人の目線で解説をします。音楽理論が苦手な方でもわかりやすく解説しているので、この記事を読めば納得できるはずです。
目次
丸サ進行多すぎ│丸サ進行とは?多用される理由
丸サ進行とは、「Just The Two Of Us進行」とも呼ばれ、幅広いジャンルの曲で使われる定番のコード進行です。
FM7→E7→Am7→D7(IVM7→III7→VIm7→II7)のような流れが特徴で、明るさと切なさ、浮遊感を同時に感じさせる独特の雰囲気を持ち、聴き手に強い印象を与えます。
音楽業界で多用される理由は、とっても簡単に“エモい”雰囲気が作れること、そしてヒット曲の多くがこの進行を使っているため、安心感や親しみやすさがあるからです。また、循環コードとして繰り返しやすくこのコードを続けるだけで曲ができてしまったり、アレンジの幅も広いのが魅力です。
なぜこんなに多すぎる?音楽で丸サ進行が人気の背景
丸サ進行が「多すぎ」と言われるほど人気な理由は、まず“エモい”雰囲気を簡単に作れる点にあります。この進行は、明るさと切なさ、浮遊感を同時に感じさせるためリスナーの心に残りやすいのです。
また、2000年代初頭からJ-POPやボカロ、Z世代アーティストのヒット曲で多用され、2020年代に再びブームとなっています。
作曲者にとっては、短時間でクオリティの高い楽曲を作りやすい“魔法の進行”とも言えます。しかし、その手軽さゆえに似たような曲が増え、「またこの進行か」と感じる人も多いのが現状です。
- エモい雰囲気が簡単に出せる
- ヒット曲の多くが採用している
- 作曲初心者でも使いやすい
- 循環コードでアレンジしやすい
調性・メロディとの関係性と丸サ進行ならではの雰囲気
丸サ進行は、調性(キー)によって雰囲気が微妙に変化しますが、どのキーでも“切なさ”や“浮遊感”を感じさせるのが特徴です。メロディとの相性も良く、シンプルな旋律でも印象的に響きます。
特に、夜の情景や心情を歌う楽曲で多用される傾向があり、Adoさんの「夜のピエロ」やimaseさんの「NIGHT DANCER」などが好例です。
また、丸サ進行は循環コードなので、曲全体を通して繰り返しやすくリスナーに強い印象を残します。
この進行ならではの“曖昧な明るさと暗さ”が、現代の音楽シーンで求められる“エモさ”や“共感”を生み出しているのです。
丸サ進行多すぎと感じる瞬間│リスナー・作曲者の意見
丸サ進行が多用されることで、リスナーや作曲者の間では「またこの進行か」と感じる瞬間が増えています。特に音楽に敏感な人や、日常的に多くの楽曲を聴く人ほど、似たような雰囲気や展開に気づきやすくなります。
一方で、作曲者側も「手軽にエモい曲が作れる反面、個性が出しにくい」と感じることが多いようです。このような状況は、音楽の多様性や新鮮さを求める声と、ヒットを狙う現場の現実との間でジレンマを生んでいます。
実際にAwesome City Clubのatagiさんは「1度覚えるとそこにばかり頼ってしまう」「取扱注意」といったことをおっしゃっています。
「またこの進行?」嫌い・飽きると感じる人の声
丸サ進行が多すぎると感じる人の中には、「どの曲も同じに聴こえる」「新鮮味がない」といった不満を持つ人が少なくありません。
特に音楽ファンやクリエイターは、個性や独自性を重視する傾向が強く、同じ進行の繰り返しに飽きてしまうことも。また、SNSや掲示板では「丸サ進行=安易」「またこのパターンか」といった批判的な声も見られます。
一方で、初めて聴く人やライトなリスナーには親しみやすく、受け入れられやすいという側面もあります。このギャップが、丸サ進行の“多すぎ問題”をより複雑にしています。
丸サ進行を使った有名曲・ヒット曲一覧
丸サ進行は、J-POPやボカロ、洋楽など幅広いジャンルで数多くのヒット曲に使われています。J-POPでは、近年のZ世代アーティストのヒット曲にも丸サ進行が多用されており、時代を超えて支持されている進行と言えるでしょう。
- AKASAKI「Bunny Girl」
- Ado「夜のピエロ」
- imase「NIGHT DANCER」
- YOASOBI「夜に駆ける」
丸サ進行多すぎは問題なのか?作曲家の個人的な意見
丸サ進行が“多すぎ”と否定的な意見が出てくる背景について、確かに音楽表現の幅が狭まってしまっているのではないかというところは否めませんね。TikTokで「高校生・大学生が曲を作ってみた」といった動画の大半は丸サ進行でした。メロディをのせるだけで多少良い曲に聴こえてしまうので量産されるのは仕方がないことでしょう。
ですが、それが問題なのかというのは別の話だと思います。丸サ進行の曲が量産されている現代では、それだけ他の曲との差別化が容易ではなく扱いが難しいです。メロディやリズムの付け方が既出の曲と被らないように作っていくことは大変ですし、作曲者のスキルが試されます。
そんな中で丸サ進行の曲が今も生まれ、流行りの曲になるということはその曲には他の丸サ進行の曲には無い魅力があるということです。それを丸サ進行の曲だからと避けてしまうのは早計かもしれません。
人間ですから曲の好き嫌いは当たり前ですし、聴く聴かないは個人の自由です。ただ否定的な意見を誰かに強くぶつけたり大勢の人の目があるところで発信するのは誰も得しません。
また、もしこの記事を見ている作曲家の方は、丸サ進行の曲を作ることに抵抗を持たなくて大丈夫です。音楽の可能性は無限です。あなたの作りたい音楽を否定的な意見で縮めてしまわないように自信をもって創作活動していきましょう。